幻の虹を見た体験を香りにしました。
はてな?が浮かぶような香りですが、この香りを作って1年。やっと言語化することが出来ました。
この香りを調香して、幻というものがなんとなくですが、前よりわかるような気がしています。
香りが生まれたエピソード
2023年6月、京都で開かれたアーティスト富永大士さんの個展『虹の器官』に香りを置かせていただけるということで、虹に関連した香りをイメージしていました。
(写真は、打ち合わせの時のメモ書き)
ある日の夜、虹について深くイメージしているときに、ありもしないところ(夜中の室内)に虹が見えるという不思議な体験をしました。
やや薄暗い夜中の室内の壁に虹が見えたんです。(幻虹の商品写真は、その時に見た薄暗さ、壁紙、虹にかなり近いです。)
その感覚にびっくりしながらも、この感覚を急いでチャート(香りのレシピ)に書き取りました。
書き留めたチャートから出来上がった香りは、よくわからない、捉えどころのない香りになりました。(イメージを具現化するということがどういうことか、この経験で更に実感することができました。)
チャートを見直そうと香料の香りを聞きなおしたしたところ、不思議なんですが、幻の虹を見たときの嗅覚は普段自身で感じている嗅覚とは全く違っていたことに気づきました。
幻を見ていた時の嗅覚が再現できないので、香りを組み立て直すということはできませんでした。
この体験以来、どんな時どんな場所でもイメージすると、時々虹が見えるようになりました(実際は虹は出ていない)。この体験から、自分が見えていると思っているものが実は思い込みで、存在しないのかもしれない。それぞれの思い込みが見え方を決めているのかも、と感覚について新たな視点が入るようになりました。
表現の挑戦
(写真は 富永大士さんの作品『Rainbow Organ』と香り『幻虹』)
出来上がった香りはある意味、幻や幻想を表現できていますが、いわゆる私のなかにある”香りの概念”を越えていたので、個展に置かせていただくかどうか迷いました。
今までも『良い香りを作ろうとしない』という気持ちでやってきましたが(いわゆる”一般受け”というもの。)、まだまだ自分の中に枠があることに気づきました。
表現するということに自分に許可を出していこう。表現をあえて明確にしないということに挑戦した香りとなりました。
幻虹(げんこう)をお求めの方は『商品紹介』をご覧ください。